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2006年 06月 15日
今でこそ、イギリスのサッカーリーグといえば、プレミア・リーグを指すが、1992年までは存在していなかった。プレミア・リーグはBスカイBという有料TV放送局が、イングランド・リーグから人気チームを集め発足させた、いわば放送局主導のリーグなのだ。
ヨーロッパには、スカイスポーツとユーロスポーツという2つのスポーツ専門衛星放送があった。1989年ルパード・マードック氏が率いる「BスカイB」が開局。先行していた2つの放送局を追い越すために、プレミア・リーグをイングランド・リーグから独立させ、その独占放送権を手に入れた。 その結果受信世帯数を150万から一挙に500万世帯に伸ばし、1992年には黒字化。 プレミア・リーグの試合中継は現在でも、BスカイBでしか観ることが出来ない。 国営放送のBBCですら、試合のハイライトを放送する権利を買わなくてはならない。 2000年のハイライト放送権は、BBCから入札の結果民放に移り、公営放送のプライドがズタズタになったと揶揄されたほどだ。 さて、このBスカイBのやり方は、強引としか言いようが無いが、サッカーの試合を独占放送するという事で、TV局の経営を軌道に乗せた事例としては非常に興味深い。 マードック氏はインタビューの中で 「大衆の心を掴むのは映画やニュースではなく、リアルタイム・スポーツである。有料放送の加入者を増やすためには、その国に会わせたスポーツコンテンツを提供することが一番の近道である」と言い切っている。 BスカイBがプレミア・リーグに支払っている放映権は2001年〜2003年の3年間で10億ポンド(約160億円)と報道されている。年間53億円で全380試合(1試合約1400万円)の放映権を手に入れている計算だ。 チェルシーやマンチェスター・ユナイテッドの全試合を独占的に放送出来るのだから、全試合を放送することが出来なくても、決して高い買い物ではない。 プレミア・リーグの成功に気を良くした、マードック氏は1999年に、マンチェスター・ユナイテッドの買収に動いた。当時史上最高額の1440億円を提示していたが、英国貿易産業省が「公共の利益に反する」として「待った」を掛け、実現することは無かった。 その後、マンチェスター・ユナイテッドは株式を上場したが、2005年アメリカのロイ・ガードナー氏(NFLのチームオナーでもある)が発行済み株式の75%を買い占め上場廃止になっている。(この話題は改めて) 2005年10月 プレミア・リーグとBスカイBとの独占契約を、ヨーロッパ放送連合EBU(European Broadcasting Union)が問題視した。 慌てたプレミアリーグは「一部の生中継放送権をBスカイB以外に販売する」方針を固めたが、EBUはそれでも不十分だとしている。 EBUは、有料の衛星放送は、グローバルアクセス権の概念に反する為、BスカイBでの中継を半分以下にするように要請している。 2008年以降は、BスカイBが支配するプレミア・リーグの時代は終焉を迎えることになりそうだ。 2006年3月期の在京キー局の決算報告を見ると、 フジテレビ、TBS、テレビ朝日、テレビ東京は、広告収入が好調で売上が過去最高を記録した。一方で日本テレビが低迷した。 「プロ野球の巨人戦中継などの視聴率不振が響いた日本テレビ放送網だけが減収となった。」と共同通信が伝えている。 スポーツコンテンツはTV局の経営を左右する、 強力なコンテンツであると考えても良さそうだ。
by a-stadium
| 2006-06-15 00:50
| サッカー
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